仮面ライダーゼロワン 5話 AIで漫画を描くのにヒューマギアは必要ない【ネタバレなし】
はじめに
今週の仮面ライダーゼロワンは漫画のお仕事編でした。4体のヒューマギアをアシスタントに使って漫画描いています。
映像では、ヒューマギアそれぞれが、コマ割り、背景、ペン入れ、着色を行っています。ストーリーは編集担当とヒューマギアが考えているようです。
漫画を描くのに間型のヒューマギアって必要ではないと。人間型だと無駄が多い。バッテリーも切れるという描写もあったし。そもそも、PCがあれば普通に漫画を描くことができると思います。
AIは漫画を描けるのか
現在の画像認識系のAIの研究は特に目覚ましい発展を遂げています。例えば、GAN(敵対的生成ネットワーク)を使って、AIに絵を描かせるという事例は数多く発表されています。有名なところでは、馬の写真をシマウマに画像を生成。
GANで新しいポケモンを生成。
マサチューセッツ工科大学では、写真から肖像画を描かせたりしています。
すでにビジネスにもなっており、Preferred Networksが『Crypko』という、アニメキャラを無限に作ることができるサービスを提供しています。
PCさえあれば、絵を描くことが可能なのです。
すでに実装されているAIツール
PCで漫画を描くためのツールに、『CLIP STUDIO』があります。この『CLIP STUDIO』には、AI技術を用いた機能がすでに実装されています。
自動彩色というものがあり、絵にヒントとなる色を乗せてあげるだけで、着色してくれます。また、解像度の変化で、ぼやけた線を自動でシャープにしたり、写真のポーズからデッサン人形のポーズに適応させる機能も搭載しています。
では、5話で行われていた作業は今のIAでも可能か確認していきます。
コマ割り
『マンガコマッタラー』というツールがすでにあります。セリフを入れるだけでコマ割りを自動生成してくれます。
『アイビスペイント』というツールでは、指でなぞるだけでコマを割ることができます。枠を後から移動させることも可能です。
背景
NVIDIA GTC 2019でGANを使用した、画像作成機能が発表されました。簡単なスケッチで、かなりリアルな背景を描くこと可能です。家のPCでも実際に作成することもできました。面白いので、試してみてはいかかでしょう。
ペン入れ
明治大学で、AIがラフ絵に自動でペン入れするアルゴリズムがSIGGRAPH2018で発表されています。
着色
SIGGRAPH2019で、一枚の写真から立体を把握して、光の方向を変化させる論文が発表されています。この研究が応用されていくと、2Dで描いたイラストも自動で3D化し陰影が自動生成し立体感のある着色が可能になっていくと考えられます。
また、画像の置き換えの研究も活発で、SIGGRAPH2019でも論文がありました。これを応用すれば、陰影の部分をトーンで表現したり、網掛けにしたり、ベタにしたり自由に表現を選べるようになると思います。
ストーリー
星新一のショートショート全編を解析して、AIに面白いショートショートを描かせる『きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ』というプロジェクトが進行中です。
まとめ
このように、近い将来ではAIを使って漫画を描くことができるでしょう。ただ、個人的にはどんなに発展しようと漫画の面白さはネームで決まると思っています。冨樫先生のHUNTER×HUNTERはネーム状態でも面白いもの。ネームは作者の経験に左右されると思うので、AIには難しいのではないかと。AI研究者の中島秀之氏は、「価値観は人間側にしかない」「ゴールを決めるのは人間で,AIはそこに向かってやみくもにやるだけ」と語っていました。ネームというゴールを人間が制作し、AIを使って作品を完成させることになるのではと考えています。
きっと、石墨超一郎先生はネームだけは描いてたのかなと思います。